法務のーと

不動産登記、会社登記、その他の法律事務の研究ノート

危険な相続放棄(2)

相続放棄のリスクについてのノート第2弾。

 

【事例2】夫が死亡して、妻と子が相続し、子だけが相続放棄する場合

 

(1) 相続財産である土地・建物を妻に単独で相続させるために、子が相続放棄する

(2) 夫の両親が既に他界していたため、夫の兄弟姉妹が相続人となる

(3) 土地・建物が、妻・夫の兄弟姉妹の共有となる

(4-1) 妻の単独所有にするために、夫の兄弟姉妹全員と遺産分割協議をしてその旨の協議書を作成する

(4-2) 夫の兄弟姉妹のうち、1人が協議に応じなかったため、土地・建物はその兄弟姉妹と共有になる

 

この場合、妻は、単独で土地・建物を売ることもできず、その兄弟姉妹の使用を拒むこともできなくなる。

また、妻が死亡した場合には、土地・建物は、子とその兄弟姉妹との共有となる。

 

さらに、

・兄弟姉妹の一人が認知症の場合 → 後見人の選任手続き

・兄弟姉妹の一人が行方不明の場合 → 不在者財産管理人の選任手続き

といった手続きが必要となるなど、事態が複雑化し思わぬトラブルの原因となるおそれがある。

 

相続放棄にあたっては慎重が判断が必要となる。

 

相続放棄・限定承認の判断 - 相続相談ネット - 福島県郡山市